寧日雑考 第42号 日本国のB/S 2018.09.16
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B/Sとはバランスシート(Balance Sheet 貸借対照表)の略である。
簿記3級を持っている人には説明するまでもない。ビジネスマンにとっても
常識と言ってよい用語だろう。

まずは事実を5つ。

【事実1】日本国の2018/3 普通国債発行残高は883兆円
 財務省ホームページ「我が国財政の現状」
 https://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/201803_01.pdf
 によれば、日本国の2018/3の普通国債残高は883兆円とある。
 (5頁 3.公債残高の累増)

【事実2】日本国の2017/3 資産・負債差額は▲549兆円で債務超過
 財務省ホームページ「平成28年度 国の財務書類」
 https://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/
 fy2016/national/fy2016gassan.pdf
 によれば、民間企業の"純資産"に相当する"資産・負債差額"の残高は▲549兆円で
 債務超過の状態である。(3頁 貸借対照表)

【事実3】日本銀行の2018/3 流動資産残高は528兆円
 日本銀行ホームページ「第133回事業年度財務諸表等」
 http://www.boj.or.jp/about/account/data/zai1805a.pdf
 によれば、日銀の2018/3の国債・貸付金などの流動資産残高は528兆円である。
 (3頁 貸借対照表)

 以上の事実1,2,3を元に、日銀は日本国の子会社と考えて、
 日本国の国債等と日銀の流動資産を相殺してみる。いわゆる統合政府だ。

【事実4】国債等発行残高は、355兆円(883兆円−528兆円)となる。

 また、日本国の資産・負債差額(債務超過額)と日銀の流動資産を相殺すると、

【事実5】日本国の債務超過額は、▲21兆円(▲549兆円+528兆円)となる。

つまり、財務省が喧伝している『国の借金は国民一人当たり約700万円』や、
『日本の借金はGDPの2倍を超えて先進国中で最悪の水準にある』などは
不安を煽るための、単なる数字のお遊びであることが分かる。

ここまで説明すると、簿記を知っている人が、
「日銀の純資産は4兆円しかないのだから、資産・負債差額が▲549兆円の
債務超過である日本国と連結しても差引▲545兆円。つまり統合政府に
なっても相変わらず▲545兆円の債務超過ではないか」
という疑問を持つかも知れない。

計算上はその通りである。しかし、統合政府は通貨発行権を持つ、という
事実を見落としてはならない。これが民間企業との大きな違いだ。

この大きな違いは、日銀のB/Sを見れば分かる。

日銀の負債524兆円の内訳は、発行銀行券104兆円、預金400兆円で、
実に96%の504兆円が現金・預金になっている。
民間企業では現金・預金はB/Sの資産側(借方)に出るが、日銀では
負債側(貸方)に出る。これは日銀が発行した通貨(お金)の残高を表すからだ。

日銀がお金を現物で発行すれば、日本銀行券つまり現金で、
日銀がお金を預金で発行すれば、日銀当座預金だ。

思考実験で、日本国政府が10兆円の国債を発行して新幹線を作る例を考えてみよう。
下の(1)(2)で、これは 第33号 預金は永遠に不滅です に書いたものと同じである。
 (1)政府が10兆円の国債を発行し、まず民間銀行が買い最後に日銀が民間銀行から買う。
 (2)政府が民間企業に新幹線を発注し、完成したら代金10兆円を現金で払う。

(単位:兆円)
取引\主体

日本国

民間銀行

日銀

民間企業
(1)10兆円
 国債発行
 国債買取

現金10
 /国債10

国債10
 /現金10
現金10
 /国債10

国債10
 /現金10

仕訳なし
(2)新幹線
 完成
 代金支払

新幹線10
 /現金10

仕訳なし

仕訳なし

現金10
 /売上10
(1)(2)取引
 の残高

新幹線10
 /国債10
【事実1】

残高なし

国債10
 /現金10
【事実3】

現金10
 /売上10

上記の残高のうち、日本国は【事実1】、日銀は【事実3】のB/Sと同じ形に
なっていることが分かる。日本国と日銀を連結相殺すれば【新幹線10/現金10】だ。
この例では、日本国の借方は新幹線を想定したが、国債の使い道はこれに限らない。
災害復興にも、医療にも、年金にも使われる。
そして重要なのは「使われた金は移動するだけでどこにも消えない」ということだ。

 問い:新幹線を作って民間企業が手にした現金10兆円はどこに行くのだろうか?
 答え:その企業内、従業員、株主、他の企業(銀行を含む)のいずれか。

さらには、次の2つの条件が満たされる限り、物価上昇率2%までは安心して
国債を発行できる、ということだ。
 1.民主国家として安定している。
 2.国富を保有している。
これは 第22号 赤字財政=打出の小槌 に書いたとおりだ。

岡山県真備町を襲った洪水、関空を水没させた大型台風、北海道をブラックアウト
させた地震など災害大国日本では、国富と人の命が奪われ続けている。
国債を発行して、十分な復旧・防災の工事を行い、国土と国民を守ることが
最優先の課題だ。
それにもかかわらず、緊縮財政推進、プライマリーバランス黒字化、
消費税10%という亡国の道、途上国化への道を歩みつつある。

自分の家族と日本国の将来のために、財務省・財務省に洗脳された無能な
国会議員・財務省の片棒を担ぐ出鱈目マスコミ・吉川○のような御用聞
経済学者・池上○のようなインチキ偽善者ジャーナリストに騙されないよう、
開悟しなければならない。

注)今回の仕訳の表はプレーンテキストでは形が崩れる事もあると思う。
その時はこちらのHPを見て欲しい http://www.geocities.jp/monburu/Nzak0042.html
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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://www.geocities.jp/monburu/
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( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした雑文です)
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