寧日雑考 第74号 人生の目的2 2022.01.08
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1999年12月に、雑考400の 第134号で「人生の目的」、
第137号で「価値について」を書いた。

それから約22年経った今、結論は変わらないが、
人生の目的を2件の明確な言葉にできたので紹介する。

「人生の目的」は次の二つである。
(1)生き物として子孫を残すこと、若しくは他者の子孫を助けること。
(2)身体という感覚器(センサー)をフル稼働して、その感触を楽しむこと。

(1)は言わずもがな だろう。

(2)は五木寛之 氏が著書で「人生の目的の第一歩は、生きること、である」
と書いているのと同じで、表現を少し変えただけだ。

さらに言えば、哲学者 永井 均 氏が著書「子どものための哲学対話」で、
登場人物「ぼく」が「人間は何のために生きているの?」とペネトレ(猫)
に尋ね「それは結局、遊ぶためさ」と答えさせているのと同値である。

少し前に流行ったオンライン呑み会を、最近は聞かなくなった。
私も数回参加したが、すぐに飽きてしまった。
モニター画像越しに会話しながら酒を飲んでも面白くないのだ。
何故か? 考えた結論は、五感に響かないから、と思い至った。

同じ空間を共有して、銘々が会話し、喧噪を聞き、匂いを嗅ぎ、
酒・料理を味わい、手を叩いて笑い、心地よく酩酊する、
そんな五感の刺激に満ち溢れる集いが、呑み会の醍醐味だと私は思う。

精神も含めた身体の感覚は悦楽だけではない。当然、苦痛もある。
怪我・病気・悩みなどに由来する痛みや苦しみは、とても辛い。
しかしそれも含めて、生きる、ということだ。

苦痛の感触を楽しむというと、倒錯的意味合いが想像されるが、
それではなく、懸命に生きている実感・リアリズムを楽しめれば、
これこそ最高の人生、と言えるのかも知れない。

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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://zak400.zatunen.com/
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( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした考察です)
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