寧日雑考 第132号 コフカの環(わ) 2026.08.27
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私は常日頃、
「ヒトは己の脳を通してのみ世界を知る」
を忘れないように気をつけている。

歳を重ね「自分が絶対に正しい」という
老人特有の尊大・横柄・傲慢に陥らないためだ。

「知性はバイアスでできている
 賢さと愚かさの計算論的認知科学」
 2026年6月(講談社選書メチエ 844)

を読んで「コフカの環(わ)」錯視を知った。

やや横長の長方形があり、左半分が黒、
右半分が薄い灰色に塗り分けられている。

その長方形の中に、少し濃い灰色のドーナツ
又は浮き輪のような円が描かれた図がある。

これをテキスト文字で表現するのは難しいが、

■□ ← この長方形の真ん中に◎がある図だ。
(■と□はぴったりくっついている)

長方形をドーナツごと真ん中から左右に切り離す。

すると不思議なことに、左右の半円ドーナツの色
が全く違って見えるのだ。(灰色の濃さが違う)

そして、元のようにくっつけると同じ色の
ドーナツに戻る。※1コフカの環(わ)動画 図

何度見返しても色が変わって見え、元に戻る。

脳に入る情報の8割以上は目(視覚)と言われる。
直観的にもそう感じる。
そして自分で見たものは絶対だと確信する。

コフカの環は自分の目で見た確実な筈の情報が
実は、間違って認識されている状態だ。

「知性はバイアスでできている…」の
書籍には無いが、有名な錯視の例として

 平行線が平行に見えない ※2ツェルナー錯視(動画) 図

 タイルがガタガタ  ※3カフェウォール錯視(動画) 図

などもある。

第122号 写真の富士山は小さい で、
目で見た富士山は写真よりも遙かに大きく
はっきり見える実例を書いた。

これも「自分が見たいものを見る」錯視だろう。

「ヒトは己の脳を通してのみ世界を知る」

脳に情報を取り込む五感の中でも
視覚が圧倒的に大きい。

自分の目で見た絶対の筈のものが、実際とは
違っている事実がある。コフカの環などだ。

取り込んだ情報を脳内で分析・加工・統合して
独自の考察・知見・意見・意思が作られる。

元の情報が違っていれば、結論も変わる。
これは誤解・誤判断の原因になるだろう。

自分の目で見た確実な筈の情報ですら、
誤って認識している可能性がある。

まして脳内で産み出された思惟・思考なら
事実からずれた、偏見に満ちたものに
なっている可能性も捨てきれない。

だから「自分は絶対間違っていない」
とは言えない場合があることを
理解しなければならない。

※1コフカの環(わ)錯視(動画)  図

※2ツェルナー錯視(動画)  図

※3カフェウォール錯視(動画)  図

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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://zak400.zatunen.com/
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( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした考察です)
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