寧日雑考 第64号 財政赤字は必要「善」 2021.02.07
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武漢発新型コロナウイルスの悪影響が続き、10都府県では、
2021.3.7までの1ヶ月、緊急事態宣言が延長されることになった。
医療崩壊危機が続いているためやむを得ないのだろうが、酷い話である。
新型コロナ死ではなく、経済的な死に見舞われる事業者も増えるだろう。
結果責任として、政府の新型コロナ対策は失敗したと言える。

さて、財務省のHPによれば、令和3年度(2021)の一般会計予算は
106兆円で、そのうち35%の歳入は特例国債(赤字国債)で賄う内容
となっている。
また、2020年9月末時点で国債の発行残高は 一千兆円を超える
1,004.8兆円である。

武漢発コロナ禍が落ち着きだしたら、主流派経済学者・財務省・マスコミ・
池上彰に感化された真面目な愚か者などが、
 「今はまだ日本国内の預金で赤字国債が賄えるが、
  このまま赤字国債が増え続けると財政が破綻する」
と言い出すことは目に見えている。

これに対する反論として、1000兆円の国債のうち日本銀行が約半分の
485兆円を保有しているとか、日本国政府の借金(負債)だけでは無く
B/S(バランスシート)の反対側の財産(資産)も見るべきだ、
という論点もある。

しかし、そもそも財政赤字は必要「善」なのだ。

そして日本国民の雇用が守られ、日本国の生産力が維持されることが
国民経済・財政の本質なのである。

簿記3級程度の仕訳を知らなくとも、素直な思考力があれば分かる。
高校の公民科目で習う「国民経済計算三面等価の原則」を思い出せば良い。

第33号 預金は永遠に不滅です」にも書いたとおり、
三面等価の原則とは、GDP(国内総生)で 生産=分配=支出 が
成立するいうことだ。
簡単に言い換えれば
 「誰かの収入は誰かの支出」
と言っているに過ぎない。

登場人物は、(1)政府 (2)民間企業 (3)国民(消費者) だ。
政府が赤字国債で金を使えば、いずれその金は、
民間企業と国民の貯金になるのだ。
一番分かりやすい実例が、昨年実施された一人10万円の給付金だ。

仮に構造改革を一層進めて、すべての民間企業が筋肉体質に
なったとしても、民間企業同士内だけの金のやりとりでは、
結局プラスマイナスゼロである。
「誰かの収入は誰かの支出」なのだから、
素直に考えれば誰でも分かる当たり前のことだ。

日本国政府の大事な役割は、赤字国債を減らすことではなく、
もっと増やして日本の経済活動を維持すること、
即ち、国民の雇用を守る、国民の生活を守る、企業の生産活動を守る、
そのために災害に強い国土とインフラをつくることなのである。

やがて来る大地震に備えて、財政が破綻しないよう今から
国債残高のGDP比率を減らすべき、などと主張する
2021.1.22の日経朝刊 大機小機「国債発行額3倍増の重荷」は、
亡国の大馬鹿記事である。

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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://zak400.zatunen.com/
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( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした考察です)
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