雑考400 第363号 9.11(2) 2008.4.27
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40代前半の在日カナダ人英語教師が強く薦める書籍 『 9・11事件は謀略か−「21世紀の
真珠湾攻撃」とブッシュ政権』デヴィッド・レイ・グリフィン著、きくち ゆみ・戸田 清
訳 2007.9.11 初版 第一刷 を読み進むにつれて、事件以来6年間、如何に自分が何も考
えていなかったか、を思い知らされた。そして、”民主主義国家”アメリカ合衆国政府の
底知れぬ闇を感じた。またマスコミ報道の一過性・偏向性・剣呑性を再認識した。

序文(プリンストン大学名誉教授リチャード・フォーク(国際法学)博士)から抜粋する。
「「「
デヴィット・レイ・グリフィンは、驚くべき本を書き上げた、もし30%でも心を開いて
注意深く読むならば、米国政府の指導者たちが憲法で定められた民主主義をどう扱ってい
るのか、われわれは確実に理解を改めることになろう。そういう意味で、本書は不安にさ
せる本であり、世界史上最も強力な主権国家<略>にとっての政治的正当性の深刻な危機を
描いている。<略>
」」」

訳者あとがき(戸田 清 長崎大学環境科学部教授 環境社会学)から抜粋する。
「「「
<略>著者のデヴィッド・レイ・グリフィン博士はカリフォルニアのクレアモント大学院の
名誉教授(宗教哲学)。<略>本書の序文をリチャード・フォーク博士プリンストン大学名誉
教授が書いていることが注目される。<略>日本軍の暗号を解読したのに真珠湾攻撃を容認
してハワイの米軍を犠牲にしたローズヴェルト大統領と同様に、ブッシュ政権はテロを容
認(さらには支援)したのではないか、というのが書名の含意である。<略>
」」」

本書は437頁の大著(日本語本文は366頁)で、『遺伝子神話の崩壊「発生システム的見解」
がすべてを変える! デイヴィッド・S.ムーア著 池田 清彦、池田 清美 訳 』レベルの
最悪の訳ではないが、生硬な翻訳調である。正確性を期すためやむを得ないのだろうが。

内容は重厚である。虚心坦懐に物理的・科学的な事実を詳細に検証することで、公式見解
では説明不可能な矛盾点を浮かび上がらせる形式だ。以下、象徴的なツインタワービルの
崩壊について、私(橋本)の責任で簡単にまとめる(62頁以降)
・ジェット燃料の燃焼温度(871〜927℃)では鋼鉄(ビルの鉄骨柱)は融解(1500℃)不可能
・旅客機に積載された燃料には巨大なビル全体の鉄骨柱を柔らかくするエネルギーは無い
・自由落下速度で崩壊している(崩れ落ちる階が下の階から全く抵抗を受けていない)
・先に崩壊したサウスタワーは、ノースタワーよりも17分後に旅客機の激突を受けたが、
 ノースタワーよりも29分早く崩壊した。火災もサウスタワーの方が小さい。
・ビルの強化コンクリートをすべて粉塵に変える巨大なエネルギーはどこから来たのか?
・ノースタワーから108m離れていた第7ビル(47階建)だけが崩壊したのは何故か?
このほか、崩壊の映像、崩壊後の瓦礫の状況、救助活動を行っていた複数の消防士が証言
する爆発音、貿易センタービルから北21マイル(約33.8km)にあるコロンビア大学の地震計
の観測データなどの検討から、ツインタワーと第7ビルの崩壊は「爆薬による制御解体」
である、と公式見解への反論者達は結論する。しかも瓦礫の犯罪学的検査が許可されず、
爆破の決定的証拠となる筈のビルの鉄骨柱金属の"双晶変形"は検出できなかったと言う。
制御解体の為の爆薬を設置する機会については、329頁以降で詳細に言及されている。

書籍ではツインタワービルの崩壊以外に、ペンタゴンへの激突、米国空軍のスクランブル
が何故行われなかったか、ブッシュ大統領の行動、米国政府高官による事前情報の掌握・
調査妨害・黙認の可能性の言及(政府高官には コンドリーザ・ライス国家安全保障担当補
佐官(現国務長官)、ドナルド・ラムズフェルド国防長官、ディック・チェイニー副大統領
の他、CIA長官、FBI長官が登場する。何れもブッシュ政権の中枢の高官)がなされる。
結論では、9.11が誰の利益になったか?(ブッシュ政権、ペンタゴン、CIA、FBI、軍需産
業、石油産業の利益)を基礎として9.11事件を最もうまく説明出来る説として政府共謀説
が24項目の証拠と共に述べられる一方、政府の公式見解である偶発説の矛盾点が38項目の
難点と共に述べられる。そして最終章では徹底調査の必要性が強く主張される構成となっ
ている。

私は、著者の中立的な姿勢に好感と信頼を覚える。また複数の解釈があり得るヒトの行動
の検証ではなく、ツインタワービルの崩壊原因に代表される、物理的・科学的検証を強く
希望する。「爆薬による制御解体」が証明されれば、最終的には歴史の問題となるのであ
ろう。当面は無理だろうが、50年くらい後には真実が解明されることを期待する。唯一の
超大国の存在は危ういことが明らかになりつつある。二つの超大国の並立がもっと危険で
あることは歴史が証明している。大国・集団群の鼎立も一時的なもので、恒久平和は期待
薄だろう。ではどの様にしたら良いのか? それがつまり、人類の永遠の課題であろう。

※ 今回は400字をオーバーしましたが、ご了承願います。
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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com http://www.geocities.jp/monburu/
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( 「雑考400」は、40字×10行の、1分で読める系統立っていない考察や考証です )
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