雑考400 第329号 デフレ新解釈2 2002.5.19
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"労働生産性の向上2.5%を考慮すれば物価上昇0%は実質的に▲2.5%のデフレとなる"という
デフレの新解釈を『小泉の波立ち』*1 で知った。不況感のある日本は実質的デフレ状態
なのか数値での検証を思い立った。前328号にも書いた通り、我流分析の"遊び"である。
インターネット検索で厚生労働省所管の日本労働研究機構*2 という特殊法人公表の各種
統計資料*3 を見つけた。まず消費者物価指数は次の通り。
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西暦年(指 数)(前年比) http://www.jil.go.jp/statis/shuyo/200204/0107.htm から
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1996年( 98.6)( 0.1%)
1997年(100.4)( 1.8%)
1998年(101.0)( 0.6%)
1999年(100.7)(▲0.3%)
2000年(100.0)(▲0.7%)
2001年( 99.3)(▲0.7%)
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物価上昇は小さく1999年以降は若干のマイナス傾向が続いている。

次に労働生産性は次の通り。
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西暦年(指 数)(前年比) http://www.jil.go.jp/statis/shuyo/200204/0106.htm から
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1996年( 91.2)( 3.2%)
1997年( 95.5)( 4.7%)
1998年( 91.5)(▲4.2%)
1999年( 94.4)( 3.2%)
2000年(100.0)( 5.9%)
2001年( 94.8)(▲5.2%)
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当該ホームページの下段に注として、
労働生産性指数={製造工業生産指数×(100/105.0)/(常用雇用指数×総実労働時間指
数/100)}×100(常用雇用指数、総実労働時間指数は、製造業、規模5人以上のもの。)
とある。
"労働生産性=労働者一人当たり、あるいは労働時間一時間当たりの生産量または生産額"
という定義が根底に有る筈だから ×(100/105.0) は消費税を控除しているのだろう。
この数値はプラスマイナスの変動が大きく、傾向がよく判らない。ただ、指数は2000年の
100.0を除けば全て90の前半から半ばであるから、基準年がいつであるかは不明だが、
"労働生産性はマイナスになっている"と考えられると思う。さて以上の数値を見れば、
「労働生産性の向上2.5%を考慮すれば物価上昇0%は実質的に▲2.5%のデフレとなる」とい
う前提は崩れてしまう。もっと類推すれば「労働生産性の向上はマイナスであり、物価上
昇に若干のマイナスがあっても実質的なデフレとはならない」となるのではないか?つま
り"日本はデフレ状態ではない"という結論だ。しかし実感は違う「企業収益悪化→失業増
→消費減→物価下落→企業収益悪化→・・」の循環はあると思う。実に不思議だ。つづく

*1 『小泉の波立ち』 http://www4.justnet.ne.jp/~greentree/koizumi/index.htm
*2 日本労働研究機構 http://www.jil.go.jp/index.htm
*3 主要労働統計指標 http://www.jil.go.jp/statis/shuyo/200204/contents.htm
  内の「生産性、賃金コスト」及び「物価」の数値を参考にした。

※今回は400字をオーバーしましたが、了承願います。
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黒姫高原 橋本 好次(はしもと よしつぐ)http://member.nifty.ne.jp/monburu/
mail:monburu@nifty.com http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/1755
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( 「雑考400」は、40字×10行の、1分で読める系統立っていない考察や考証です )
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