雑考400 第236号 三段論法1 2000.9.28
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次の2つの三段論法、A、Bのうち、論理的に正しいのはどちらだろうか?


人間は動物ではない。
犬は人間である。
それゆえ、犬は動物ではない。


魚は水中を泳ぐ。
マグロは水中を泳ぐ。
それゆえ、マグロは魚である。

 上記A、Bは永井 均 著「翔太と猫のインサイトの夏休み」ナカニシヤ出版158頁から
の引用だ。著書にも説明があるが、一見、Aは誤りでBが正しいように見える。そしてそ
のような誤りに陥る人が、一般人だけでなく、学者や評論家にも結構いると言う。
 勿論、結論の部分だけを見れば、Aは誤りでBは正しい。
 だが、(前提=正)ならば(結論=正)、(前提=誤)ならば(結論=誤)、となるのが正しい
三段論法だと思う。Aは前提が誤っているから結論も誤りとなっている。一方Bは間違っ
た論法だが、偶然正しい結論が出たにすぎない。例えばAの「犬」の変わりに自分の名前
Bの「マグロ」の変わりに「クジラ」を入れてみればよい。結果は一目瞭然だろう。
 市川伸一 「考えることの科学 推論の認知心理学への招待」中公新書11頁によれば、
Bのような誤りを「後件肯定の錯誤」と言うそうだ。この「後件肯定」を利用するのが推
理・推論だと思う。推理であるから間違う危険性もあるが、一方で、新しい情報を得る可
能性もある。名探偵シャーロック・ホームズも、この推論をよく使っていると思う。続く

※今回は400字をオーバーしましたが、了承願います。
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黒姫高原 橋本 好次(はしもと よしつぐ)http://member.nifty.ne.jp/monburu/
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( 「雑考400」は、40字×10行の、1分で読める系統立っていない考察や考証です )
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