雑考400 第187号 三代目 2000.5.10 ──────────────────────────────────────── 或るところで見聞した話。東京大学に産業機械工学の畑村先生という方がいて「失敗学」 に関する本を書かれているそうだ。畑村先生は、日本の原子力とロケットでの大事故の発 生を1年くらい前に予測していたという。予測が的中した事は周知の通りだ。では大事故 は何故起こるのか?畑村先生によれば、その技術を最初に確立した人(初代)は自分のコン セプトを持っており、細かい事まで全て精通している。二代目の時代になっても初代の意 志がなんとか伝わって行く。だが三代目になると、コンセプトを持ち全体を知る人間が誰 も居なくなる。すると個々の技術がどういうものか?何が重要なのか?が判らなくなる。 皆一所懸命に、そして局所的には凄い技術をやっている。だが全体から見るとどこか抜け ているところが出てきて大事故に繋がるそうだ。この話から「売家と唐様で書く三代目」 いう言葉を連想した。近年喧しい技術力低下への警鐘ではない、貴重な視点だと感じた。 ──────────────────────────────────────── |
黒姫高原 橋本 好次(はしもと よしつぐ)http://member.nifty.ne.jp/monburu/
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