寧日雑考 第131号 認知的降伏 2026.07.24
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2026年7月15日の産経朝刊に、AIに関連する記事が3件あった。
そのうちの1つが「認知的降伏」である。初めて聞く言葉だ。

「降伏」は、降参して敵に服従する意味だろう。
それに「認知的」を付けるのはどういう意味か? 興味を持った。

米ペンシルベニア大学が行った実験結果があるそうだ。
相談したとき正答と誤答をランダムに返すAIを使った実験で、
AIが間違った回答を出した時も約80%がAIに従ったという。

このような、AIの回答を無批判に受け入れる状態を
「認知的降伏」と呼ぶらしい。言わば、思考放棄だ。

因みにAIが正しい回答を出した時は約93%が
従っているので、大雑把に言えば差の13%の人間だけが、
問題に対する正しい知識・考察力を持っており、且つ、
AIよりも自分の考えを信じた、ということだろう。

因みにAIを使わない実験参加者もいて、AIが間違った
回答をした問題で比べると、AI使用組の方が、
不使用組より正答率が15ポイントも低かったという。

買い物、学習、仕事において生成AI依存が急速に
進んでおり、このままでは思考力が衰える、との懸念が
広がっているという。

認知的降伏=思考放棄 が常態化すれば、
思考力の衰えは当然だろう。

私も、報告書や議事録作成でこのままAIを使い続けたら、
読解力や文章力が徐々に失われ、思考力が衰え、
つまりは、バカになるのではないか? と不安を感じている。

第120号 生成AI考 で、
 計算 そろばん → 電卓 → コンピュータ
の進化を書いた。

電卓・コンピュータと生成AIの違いは何だろうか?

今では電卓や表計算ソフトを使わない計算は考えられない。
それでも計算手順は熟知しているので、四則演算なら
時間はかかるが筆算でできる。
そして電卓でも筆算でも、正解はただ1つだ。

一方で、報告書はどうか。
これは計算のような定型作業ではない。
何が大事な観点で、それをどう書くか、が問われる。
成果物は十人十色になる。

AIの基本原理は、
 ・ある言葉の次に続く可能性が高い言葉を並べるだけ
 ・その並び順は既存の膨大なデータから推測される
なので、生成AIで作られる成果物は、似たり寄ったりの
均質化されたものになるだろう。

生成AIを使えば、一定レベルの報告書が、
それこそ「瞬時に」作られる。
そして実用的ではあるが、誰が作っても同じで、
つまり、個性が無い、と言える。

壁打ちと称して、自分の考えを付け足して行けば、
ある程度は自分らしいものに変わるかも知れない。

しかしそれは所詮、借り物である。

最初のたたき台、0から1を作る産みの苦しみが
個性や独自性の淵源だろう。

とは言え、求められるのは芸術作品ではない。
独自性よりも、使えるかどうか、そしてコストだ。

結局、生成AIを使いこなし、その上で多少の
差別化を狙って行くのが常道、ということか。

それにしても、素人が生成AIで作った資料は、
綺麗だが、どこかのっぺりとして面白みがない。
そう感じるのは私だけだろうか。

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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://zak400.zatunen.com/
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( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした考察です)
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