寧日雑考 第115号 光の道 2025.06.24
──────────────────────────────────────

2025年の夏至の日、伊東温泉のホテルに宿泊した。

伊豆半島の東岸に位置する伊東は、熱海から20kmほど
南にある。東側に広がる海は駿河湾だ。

翌朝も梅雨時とは思えない晴天に恵まれ、
駿河湾を一望する露天風呂にひとり朝湯した。
早朝4時43分。見事な光の道が見えた。

左に初島、右に手石島、
水平線の上は明るい橙色だ。

穏やかな海面をまっすぐに進む光の道は、
太陽の直径の2倍ほどの幅か。
一直線に私に届く。

肩まで浸かりながら湯船の中を
ゆっくり左右に動いてみる。

光の道は動きに合わせて私の目に
まっすぐ向かってくる。不思議だ。

もし他の客が居たら光の道は彼らの目にも
まっすぐ向かうだろう。実に不思議である。

太陽は地球から充分に離れているため、
太陽光は平行であると中学校で習った。

しかし、誰がどこから見ても光の道がまっすぐ目に
入るなら、太陽の光は全方向に広がっている筈だ。

それなら平行とは言えない。全く以て不思議だ。

謎もう一つ。

全方向に広がって進んでいる筈の太陽光がなぜ、
幅が太陽の直径の2倍ほどの光の道に見えるのだろう。

もし海面が完全な鏡面だったら、光の道はできるのだろうか。

海面に浮かべた巨大な鏡を想像すると、単に空と太陽が
鏡に映るだけのように思える。謎だ。

謎多き光の道だが露天風呂で独占できる幸運は滅多にない。

光の道を漁船がゆっくり横切った。

今日も良い一日になりそうだ。


────────────────

【追記】
なぜ光の道が見えるのか、考えても分からなかったので、
Copilotに質問した。

『現実の海は常に波や揺らぎがあるため、水面の無数の角度が
それぞれ異なる方向に太陽光を反射し、結果として
“帯”のような道が見えるのです。

しかし海が完全な鏡面だった場合、反射は1つの方向にしか起こりません。
つまり、その反射角に位置する観察者には太陽が映って見えますが、
それ以外の角度ではまったく反射光が見えないのです。

従って、まっすぐな「道」は現れず、太陽の像だけがポツンと映ることになります。
逆説的に言えば、「光の道」が見えるのは、海面が静かすぎず、乱れすぎず、
ちょうどよい複雑さを持っているからこそなんですね。

自然のバランスって、つくづくすごいものです。』

なるほど、そういうことか。

───────────────────────────────────────

横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://zak400.zatunen.com/
____________________________
( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした考察です)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

トップページに戻る