寧日雑考 第114号 ニシオンデンザメ 2025.05.26
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2025.4.27の日経朝刊で ニシオンデンザメ(西隠田鮫) の記事を
見つけて ほう、と思った。

少し前に渡辺佑基 著「進化の法則は北極のサメが知っていた」
でニシオンデンザメの存在を知っていたからだ。

ニシオンデンザメは平均水温2〜3℃という極寒の
北極海深海に生息し、生体の体長7m、体重6トン、
成熟するまで150年かかり、平均寿命がなんと
400歳超(!)という。脊椎動物では最長らしい。

1600年に天下分け目の戦い(関ヶ原の戦い)があった。
425年前なので、その頃に生まれたニシオンデンザメが
ようやく死期を迎える計算だ。驚異的な寿命の長さである。

「鶴は千年亀は万年」と言われる亀(ガラパゴスゾウガメ)でも、
平均寿命は150年らしいので、400歳はその約2.7倍だ。

上述の「進化の法則は北極のサメが知っていた」によると
ニシオンデンザメは、水温0℃、水深400〜600mの深海で
尾びれを7秒に1回振って時速800メートルで泳ぎ、時折
瞬間最大時速2kmで獲物を捕らえる生活しているそうだ。

このデータは、個体に小型の計測装置取り付けて調べる
「バイオロギング」という研究手法で得ており、装置の取付から
回収まで大変な苦労を伴っている。

日経新聞の記事によると、ニシオンデンザメが長寿なのは
ガンに罹らないことが一つの理由らしい。

平均寿命が80歳代であるヒトは、男6割、女5割がガンを患う。
ニシオンデンザメはヒトより身体がはるかに大きい。細胞の数も多い
筈なのにガンにならない理由は、細胞内の遺伝子の働きにある、
というのが有力な仮説とのことだ。

また0℃近い水温も400歳という長寿に関係しているようだ。
体温と代謝には密接な関係があり、体温が高いほど代謝は
大きくなる。逆に体温が低ければ代謝も小さくなる。

ニシオンデンザメは体温が極端に低いだろうから代謝も小さい。
従って成長も遅くなる。成熟するまで150年かかる理由だ。

人生100年時代といわれる今、百歳の元気な高齢者は
何人も居る。

いずれガンが克服され、視力・聴力・内臓・足腰がしっかりして
いられるのなら、寿命400歳を甘受できるか?

400歳が極端なら寿命150歳は?

その時の社会情勢、生活環境、家族状況、その他検討すべき
要素が多数あって即答はできない。悩ましい問題だ。

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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://zak400.zatunen.com/
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( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした考察です)
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