寧日雑考 第113号 孤独死・孤立死 2025.04.19
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2025年4月12日(土)の産経・日経各朝刊に
2024年の孤独死と孤立死の記事があった。
孤独死とは、
「一人暮らしの人間が自宅で誰にも看取られずに
一人で死亡する」
状況を指す。
2024年の孤独死は7万6020人。
同じ2024年 人口動態統計の死者数速報値は
161万8684人なので、割合は 4.69%
ほぼ20人に1人は孤独死している計算だ。
一方、孤立死は、孤独死のうち死後8日以上
経過して発見された場合を指す。(自殺含む)
死後一週間以上も誰にも気づかれないのは、
生前から社会的に孤立していた、と見なされる。
2024年の孤立死は内閣府の推計で2万1856人。
・死者数全体での割合は 1.35%
・孤独死者内での割合は 28.75%
つまり死者の100人に1人強、そして
孤独死のうち約1/3は、死後8日以上
経過してから発見されている計算だ。
この数を多いと見るか、少ないと見るか。
因みに、警視庁発表の2024年の
交通事故死者数は2,663人である。
国立社会保障・人口問題研究所の2024年推計
「日本の世帯数の将来推計(全国推計)によれば
日本の世帯数は、約5570万世帯で、このうち
最も多いのは単独世帯の約2115万世帯(37.97%)
である。
つまり全世帯のうち一人暮らしは4割近くあり、
その人口は2115万人ということだ。
そしてこの人数は将来の孤独死予備軍と言える。
勿論この2115万人の中には単独世帯を外れる者が
多数いるだろう。
一方で新たに単独世帯になる者も現れる。
それが全世帯の約4割ということだ。
総務省統計局の人口推計 2024年10月確定値に
よれば日本の人口は1億2344万人である。
単独世帯・非単独世帯と死亡者の割合を
単純計算してみる。(いずれも単位は万)
世帯人員 死亡者数 割合
単独世帯 2115.1 7.6020 0.359%
非単独世帯 10228.9 154.2664 1.508%
こうしてみると単独世帯・孤独死者の割合は、
非単独世帯・非孤独死者の割合よりも小さい。
これは単独世帯者が病院など自宅以外で死亡
する場合があり、孤独死にカウントされない
ためだろう。
総務省統計局 高齢者の人口 によれば、
(https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1321.html)
日本の65歳以上の高齢者の総人口に占める割合は、
・2022年 29.1%(世界一 2位はイタリアの24.1%)
・2040年 35.3%(推計)
である。
私個人も現時点で満62歳。総務省統計局で言う
高齢者となるのはもうすぐだ。
今は、復新婚(第41号 SIIKs)と称して
夫婦の二人世帯の生活を満喫しているが、いずれ
どちらかが単独世帯となる日は必ず来る。
気楽な一人暮らしで、急死による孤独死は止むを
得ないだろうが、孤立死だけは避けたいと思う。
季節によっては死体の腐敗が進むだろうし、
何より後始末をする人間が気の毒だ。
隣近所の住民も良い感じはしないだろう。
私の場合は、孤立死を防ぐために、
・独立した子ども達との適宜音信
・現役労働の継続(第39号 定年75歳)
・見守りサービスの活用
・地域コミュニティーへの参加
などを思いつく。
孤立死が嫌なら自ら考えて、動かなければならぬ、
私はそう思う。
しかし、それができない人が少なからずいる。
その結果が孤立死 2万1856人だ。
これを何とかするのが、政治・行政の役割である。
私も孤独死・孤立死を大真面目に考える年に
なったのだな、としみじみ思う。
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