寧日雑考 第55号 現金給付10万円 2020.06.09
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令和2年度補正予算で、日本国民全員に一人当たり10万円を配る
特別定額給付金が成立した。

詳細は総務省HPにある
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/gyoumukanri_sonota/covid-19/kyufukin.html

総額約13兆円の財源はすべて国債である。

「誰かの資産は、誰かの負債」

簿記3級を持っている人なら誰でも分かる。この場合は、

(1) 日本国民の資産(預金)と日本国政府の負債(国債)

である。

両者の間に、日本銀行・民間銀行・地方自治体が介在するが、
究極的には(1)が残る。

日銀は武漢発コロナウイルス対策として無制限に国債を買うと宣言している。
そして日本国債は金利が限りなくゼロ、若しくはマイナスだ。

日本国は財を産み出す力、調達する力、即ち国力があるうえ、
今はデフレ状態なので、円建ての日本国債の価値が下がらないのだ。

これで誰か困った人は居るだろうか。

財務省御用経済学者、日経新聞、池上 彰などは、国債が暴落する、
赤字国債で日本国は財政破綻する、ハイパーインフレになる、
というウソがバレて困っているだろう。

報道によれば、あの麻生太郎財務相ですら、やっと分かってきたらしい。
「5月12日、麻生太郎財務相の記者会見で、予想外の事態が起きた。
 マスコミ、そして財務省自身を、財政崩壊をいたずらに煽る「狼少年」だ
 と揶揄したのである。」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73014

念のため財務省のホームページを確認したら記者会見の議事録があった。
https://www.mof.go.jp/public_relations/conference/my20200512.htm

余りに面白いので転載する。
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問)今おっしゃった財政健全化のところで、経済が成長しないと健全化しない
 というのはそのとおりだと思うのですけれども、今月8日に発表された
 国の借金が既に2019年度末で1,114兆円ということで過去最大であるということで、
 これがさらにどんどん膨らんでいくことによって投資家から見た日本の財政への
 信認というのが損なわれてしまうのではないか というふうなおそれもあるか
 と思うんですが、そのあたりの懸念についてはどのようにお考えでしょうか。

答)何十年たって、そうすると金利が上がるんじゃなかったっけね。
 そこが問題なんだよね。借金が増えて赤字公債を最初に再び出し始めたのが
 1994年。1994年の金利が幾らだったか調べてごらん。そしてその頃の借金は
 270、280兆円じゃなかったかな。記憶だからあまり確かじゃない、
 金利が5%ぐらいだったろう。4.7だったか、そんなもんだ。
 今幾らだ、1,100兆円だろう。10年ものの国債の金利は幾ら。

問)0%。

答)借金が増えて、200ないし50〜60から1,100といえば4倍に増えたんだ。
 4倍に増えたら金利はもうちょっと上がるんじゃないの。何で下がるんだ。
 国債が増えても、借金が増えても金利が上がらないというのは普通私達が
 習った経済学ではついていかないんだね、頭の中で。今の答えを言える人が
 多分日銀にもいないんだと思うけれどもね。そこが問題なんだ。
 金利が上がるぞ、上がるぞと言って狼少年みたいなことをやっているわけだよね。
 だけど現実問題としては本当に上がっていないんだよ。そこのところは
 真剣に考えなければいけないところなので、我々は金利が低いうちに
 さっさと金利が高いものから低いものに交換しようとかいろいろ、
 低いは低いなりに考えなければいけないところなので、低いからできている
 という経済政策は今のうちだからやれるというのだったら、それは今のうちに
 さっさとそれを最大限に活用してやっていかなければ、経済対策、財政政策を
 考えなければいけないということだと思いますね。
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本当に面白い。

財務省のトップが、財務省や経済学者は狼少年で、私たちが習った経済学では
国債残高が1,100兆円に増えても金利が上がらない理由を説明できない、
と言っているのである。(これぞ正に 貨幣概念のコペルニクス的転回 だ)

このような情報公開は民主国家の面目躍如。独裁国家には到底できないだろう。

さて、EUでもあれほど財政規律にうるさかったドイツのメルケル首相が、
消費税減税を決定した。財政均衡よりも武漢発コロナウイルス対策、
つまり財政赤字を選んだのである。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59955790U0A600C2MM0000/

日本国も見習って消費税減税すべきである。信じがたいだろうが、
誰も困らない。それどころか0%に減税なら可処分所得が10%も増える。

財源は、物価上昇率2%になるまで発行できる日本国債。
国民一人当たり現金10万円給付と同じ理由だ。

そして景気が戻ったら、物価上昇率2%を維持できるよう消費税の税率を
調整すればよいのである。

日本人は民度が高く、ゆるい自粛でも、武漢発コロナウイルスの拡散が
抑えられている。日本国民ならば、物価上昇率は制御できる。

日銀が買い入れする赤字国債は未来の子供達への借金ではない。

失業を防ぎ、国民の生活を保証し、設備投資・人材投資・技術投資で
国力を維持するという日本国の未来への贈り物なのである。

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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://zak400.zatunen.com/
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( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした考察です)
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