寧日雑考 第53号 破滅より財政赤字 2020.04.19
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まず事実関係を確認する。
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 武漢発コロナウイルスの感染拡大に危機感を持った日本国政府は、
 2020年4月7日、東京や大阪など7都府県を対象に「緊急事態宣言」を行った。
 黄金週間終了の2020年5月6日まで、不要不急の外出・移動の自粛である。

 同時に3密(密閉・密集・密接)を避けるため、商業施設の休業、
 イベントの中止、飲食店は20時までの営業(アルコール提供は19時まで)
 を要請した。

 これに対する日本国政府の補償対策は、

 ○所得制限付きで1世帯当たり30万円の支給
 
 ○前年比50%以上売上減少の場合、法人200万円、個人事業者100万円の給付
   → 但し令和2年度補正予算案の成立前提なので具体的内容は検討中
  経済産業省の支援策(2020年4月17日時点) https://www.meti.go.jp/covid-19/
 
 である。
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私の知る限り、20時まで営業の飲食店以外では、食品スーパー、
ホームセンター、コンビニ、理髪店のみが営業している。

つまり上記以外は「丸々1ヶ月間、商売するな。でも補償はほぼゼロ」ということだ。
これは事業者、労働者に「死ね」と言っているのに等しい。

1ヶ月間、商業施設を休止し、観光旅行や行楽を止め、スポーツ観戦や
エンターテイメント公演もゼロ、そのうえ新幹線・バス・飛行機での
移動を自粛すれば、経済への悪影響は甚大だ。

飲食以外の経済活動がほぼ止まるのだから、日本国GDPの5%強
30兆円程度は軽く吹き飛ぶ計算だ。

 ※総務省統計局 2017年日本国のエンゲル係数 26%
  https://www.stat.go.jp/info/today/129.html

しかもわずか1ヶ月の停止で、だ。
倒産・失業が続出し日本経済は大変な状況になるだろう。

さて、来月5月6日で緊急事態が終了し、翌5月7日から
通常の生活に戻れるだろうか?

今の状況を見る限り、私はとても悲観的だ。
日常生活に戻るまで、半年から2年程度は、更に時間を要するだろう。
何故なら、武漢発コロナウイルスの完全な解決策は、
治療薬とワクチンの開発しかないからだ。

このままでは2020年5月は令和恐慌の始まり、となるだろう。

事実関係の確認2
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2020年4月7日の緊急事態宣言後も首都圏での感染拡大は止まらず、4月16日に、
安倍総理は緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大する方針を表明し、同時に
当初の「所得制限付き1世帯当たり30万円の支給措置」を改め、
「所得制限なしで国民1人あたり一律10万円を給付する」と述べた。
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現金給付の財源は恐らく赤字国債。いわゆる国の借金である。
国民一人あたり10万円なら単純計算で12兆円が動くことになる。
1ヶ月の緊急事態宣言によるGDP縮小30兆円の4割だが、
干天の慈雨にはなるだろう。

そしてここで大事なのは、赤字国債で現金給付し財政赤字が増えても、
今の日本国なら全く問題が無いと、国民が気づく可能性があることだ。

現在は食料品・日用品(マスク除く)は足りており混乱は起きていない。
日本国は財を生み出す力・調達する力、即ち国力を持っているからである。

この国力を維持しなければならない。そのためには国民が
破滅しないよう、当面の現金をさらに支給する必要がある。
現金が手元にあり、生活が維持できれば、武漢発コロナウイルスが
収束した後すぐに働く事が出来る。これが国力の維持に繋がる。

赤字国債で日本国は財政破綻する、と財務省、御用経済学者、
マスコミ、自分は生活に困らないコメンテーターは言うだろう。

それなら逆に問えば良い。

破滅(失業・自殺)と財政赤字のうち、破滅を選べというのか? と。

生活人ならば、破滅よりも財政赤字を選ぶのが当然である。

そして円建の赤字国債は物価上昇率が2%になるまでは、問題なく
発行できる。日本国政府は謂わば打ち出の小槌を持っている。
要は、現金を印刷すれば良いのだ。

破滅より財政赤字。

これが日本国の国力維持、そして私たち日本国民の生きる道である。

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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://zak400.zatunen.com/
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( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした考察です)
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