寧日雑考 第51号 ソアリン 2020.02.14
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私事であるが、昨日家内と久しぶりに東京ディズニーシーに行った。
計画的年休を取得しての平日木曜日の娯楽である。

程々に混んでいたものの中国語を話す客は見なかった。
中国発の武漢肺炎コロナウイルスの影響だろう。
そのため、アトラクション待ちの人混みや行列に騒々しさも、
強引な割り込みも無く、食堂も至って静か。極めて穏やかで
快適なパークで、これならばまた来ても良いと感じた。

中国人旅行客のインバウンド需要期待の観光地や百貨店は収入減で
大変だろうが、地元で生活する人にとっては観光公害が無くなり
内心ほっとしてのではないかと推測する。
これを機会に観光事業の収益構造転換を模索するのも良いと思う。

さて、10時に開園してすぐに新アトラクション「ソアリン」の
ファストパスをスマートフォンアプリで入手した。
閉園間近18:15〜19:00有効のギリギリ。大変な人気である。
因みにこの時点で「ソアリン」がどのようなアトラクションなのか、
全く予備知識は無かった。

ほかに目当てもないので、混んでいるアトラクションには並ばず、
パーク内を散策し、上手に作られた自然の景色や古めかしい建物、
遺跡、鉄製の未来都市などを楽しんだ。

アメリカンウオータフロント鉄道駅の近くに、ソフトドリンクと
ビールを出す店を見つけて休憩。キリン一番絞りが620円だ。
紙コップだが、許せる価格で、味も本物で旨い。

少し驚いたのは、客は若い女性が9割で、うちビールを
飲んでいる客が半分居たことだ。昼間から酒を飲むことに
今も少し疚しさを覚える自分の老齢を感じた。

パーク内を散策しながら、待ち時間無しで乗れるゴンドラや鉄道、
蒸気船、ショーなどを満喫しているうちにソアリンの時間が来た。

門から建物に入り、地下の小部屋に通された。暫く待っていると
部屋に飾られた鳥の置物から鳥の影が飛び出し、同じく部屋に
掛けられていた絵画の中の女性の腕に止まった。すると絵画の
女性が動き、ソアリンについて説明を始めた。

3D眼鏡をかけていないなのに、女性は立体的に見える。
不思議だった。どのような原理なのだろう。
ソアリンの説明が終わると、女性は絵画の平板な絵に戻った。
それから廊下を通り、待合室で説明を聞きながら10分ほど待ち、
ソアリン搭乗に案内された。

薄暗い部屋に入ると、10席が横1列につながれた巨大な長いすが、
3行3列で吊り下げられていた。座席に着きシートベルトを締めた。
足が床に届かず、ぶらぶらする。
シートベルトの安全装着が確認されると、ソアリンは突然始まった。

急に空中に持ち上げられ、真っ青な空の白い雲の中に吸い込まれた。
無音のうちに空中に舞い上がる感覚。ジェット旅客機の離陸とは全く違う。
昔ハワイで体験したパラセールの浮遊感・上昇感を思い出した。
グライダーに乗ったことはないが、似ているのではないかと想像した。

下を見ると足元も雲の中である。見上げると、前列席に座った人間の足が
ぶらぶらしている。

雲を抜けると眼前に、有名な山、海、砂漠、平原、滝、世界遺産、
町並みが、次々に広がった。匂いもする。

落ち着いて、もう一度、上下前後左右を見回した。半球型スクリーンに
8K映像、風、音、匂い、加速度浮遊が相俟って、とてもリアルだ。
これは正に空を飛んでいると言って良い。

『ヒトは己の脳を通してのみ世界と関わる』は私の持論だが、己の脳へ
情報を送るのは、目・耳・皮膚・鼻・舌の感覚器で、つまり
視覚・聴覚・触覚、嗅覚、味覚の五感である。これに三半規管の平衡感覚が
加われば、脳は現実と理解する。即ち脳を騙す擬似現実だ。

高齢・病気・障碍・費用等の問題で旅行出来ない人間が体験できる
バーチャル旅行も実現間近と感じた。

ソアリン:ファンタスティック・フライト
https://www.tokyodisneyresort.jp/tds/attraction/detail/219/

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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://zak400.zatunen.com/
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( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした考察です)
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