雑考400 第390号 将棋の神様 2015.3.2
────────────────────────────────────────
小林秀雄 著「考えるヒント」に将棋の神様同士の勝負の話がある。答えはA)先手必勝
B)後手必勝、C)千日手(引き分け)の何れかで、それなら先手を決める振り駒(理屈は
サイコロと同じ)で決まる訳で、神様同士ならサイコロの結果も分かる筈だから、結論は
神様を二人も仮定した前提が誤っていた、という話だ。本文にもあるが、分かり易く脚色
して考えてみる。

駒は王将のみ。将棋盤は、A)1筋×三段、B)1筋×四段、C)2筋×三段 の3通り
に簡略化して考える。念のため言えば、王将は空いている前後左右斜に1枡だけ動ける。

▲先手 ▽後手 で表現すると、結果は次の通りとなる。

A)1筋×三段【後手必勝】
開始時 第1手 第2手
┌─┐ ┌─┐ ┌─┐
│▽│ │▽│ │ │
├─┤ ├─┤ ├─┤
│ │ │▲│ │▽│
├─┤ ├─┤ ├─┤
│▲│ │ │ │ │
└─┘ └─┘ └─┘

B)1筋×四段【先手必勝】
開始時 第1手 第2手 第3手
┌─┐ ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐
│▽│ │▽│ │ │ │ │
├─┤ ├─┤ ├─┤ ├─┤
│ │ │ │ │▽│ │▲│
├─┤ ├─┤ ├─┤ ├─┤
│ │ │▲│ │▲│ │ │
├─┤ ├─┤ ├─┤ ├─┤
│▲│ │ │ │ │ │ │
└─┘ └─┘ └─┘ └─┘

C)2筋×三段 【千日手】
 開始時   第1手   第2手   第3手   第4手   第5手(=第1手)
┌─┬─┐ ┌─┬─┐ ┌─┬─┐ ┌─┬─┐ ┌─┬─┐ ┌─┬─┐ 以下
│▽│ │ │▽│ │ │ │▽│ │ │▽│ │▽│ │ │▽│ │ 繰り返し
├─┼─┤ ├─┼─┤ ├─┼─┤ ├─┼─┤ ├─┼─┤ ├─┼─┤
│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │
├─┼─┤ ├─┼─┤ ├─┼─┤ ├─┼─┤ ├─┼─┤ ├─┼─┤
│▲│ │ │ │▲│ │ │▲│ │▲│ │ │▲│ │ │ │▲│
└─┴─┘ └─┴─┘ └─┴─┘ └─┴─┘ └─┴─┘ └─┴─┘

となる。

この号の原案は2011.8に書いたのだが、千日手の分かりやすい例を思い付くのに時間が
かかってしまった。因みに「考えるヒント」にはA)とB)の2例しか書かれていない。
将棋の神様二人の仮定が誤りというのは、一番強い存在が複数では矛盾という事だろう。
さて現在の将棋 9筋×九段 盤面の結論は、残念ながら「分からない」が答えのようだ。
ヒト対コンピュータ「将棋電王戦」(現役棋士5人とコンピュータ将棋ソフト5つの棋戦)
では、既にヒトが負け越す時代になっている。 http://ex.nicovideo.jp/denou/final/
もし結論が出てしまったら、将棋は記憶力の勝負となり、面白みは薄れてしまうだろう。

※今回は400字をオーバーしましたが、了承願います。
────────────────────────────────────────

横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com http://www.geocities.jp/monburu/
__________________________________
( 「雑考400」は、40字×10行の、1分で読める系統立っていない考察や考証です )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

トップページに戻る  前のページに戻る