雑考400 第383号 自然の知恵を人間の知恵に 2013.10.08
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表題の言葉は、2011年2月 に会社更生法を申請し倒産した会社の当時の社長が社是として
いた言葉である。私はそう確信している。その会社の昔のパンフレットに書かれていた。

原発事故の汚染水処理の問題などの報道を見て、ふと身近な電気に思いを寄せた。人類が
電気を実用的に使い始めたのは灯りとしてのアーク燈で1800年代始め頃だろう。しかし、
生物は太古から神経細胞で電気信号を情報伝達に使っていた。電気ウナギなど自己防衛に
使う生物もいる。まさに自然の知恵である。そう考えるとヒトの社会で役立っているモノ
の多くは、自然を手本にして作りだされたモノで、それが生活を便利・豊かにしている事
に、今更ながら気づき、表題の言葉を思い出した次第だ。因みに自然が生み出せず、ヒト
が発明したモノの代表は回転軸受(と車輪)だ、と聞いたことがある。但し単細胞生物では
鞭毛を回転させて泳ぐものが普通に存在する。これは生物が生み出した回転軸受だろう。

その会社は、世界で唯一、酵素を使って澱粉からトレハロースを量産する技術を確立した
会社で、インターフェロンの量産化にも成功しておりバイオ関連技術で傑出した企業だ。
糖質の研究、生体内医薬の開発、機能性色素の開発、類人猿の研究、古生物の研究のほか
自然科学博物館や美術館などのメセナ活動も幅広く行っていた。トレハロースは夢の糖質
と言われ、自然界では、多くの動植物や微生物中にある二糖類(グルコース(ブドウ糖)が
2個結合したものでマルトース(麦芽糖)と同じ仲間)だ。2個のグルコースの結合の仕方
がマルトースとは違っており、それが保水性、変色抑制、冷凍耐性、蛋白質変質抑制など
のトレハロースの特徴を発現させている。量産化によりトレハロースの価格が1kg当たり
数万円から数百円へ 1/100に下がり、今では世界中で食品、菓子、料理に使われている。
トレハロース量産技術は「自然の知恵を人間の知恵に」の傑作で人類の宝と言って良い。

奇しくも今日は、10月08日「トレハロースの日」である。
一般社団法人日本記念日協会に申請し記念日として正式に登録されたと言う。

「トレハロースの日」
https://www.food.hayashibara.co.jp/merumaga/mail20131003/mail20131003.html

トレハロースとは
http://www.food.hayashibara.co.jp/product/treha/about.html

「自然の知恵を人間の知恵に」の精神が継承され、生き続けることを心から冀望する。


※今回は400字をオーバーしましたが、了承願います。

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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com http://www.geocities.jp/monburu/
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( 「雑考400」は、40字×10行の、1分で読める系統立っていない考察や考証です )
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