雑考400 第348号 独裁国の証明3 2004.1.26
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講談社現代新書「ゲーデルの哲学-不完全性定理と神の存在論-」高橋昌一郎 著1999.8.20
第1刷によれば、1947年12月 41歳のゲーデルは米国に永住を決意したという。当時合衆国
市民権の取得には二人の保証人と合衆国憲法についての簡単な面接試験が要求された。保
証人はアインシュタインとモルゲンシュテルン。天才論理学者ゲーデルは面接試験を非常
に重要なものと考えたらしく合衆国憲法を一から勉強したという。以降 154頁からの抜粋
『ゲーデルの移民審査を担当することになったのは、アインシュタインの移民を許可した
フィリップ・フォーマン判事だった。判事は、にこやかに挨拶した後、二人の保証人が
ゲーデルの面接試験に同席することを特別に許可した。 まず、判事が、「あなたは現在
ドイツ市民権を所有していますね」と尋ねると、ゲーデルは、それを遮って「いいえ。オ
ーストリア市民権です」と言った。「いずれにしても、独裁国でしたな。しかし、わがア
メリカ合衆国では、そのようなことは起こりえませんからね」と判事が言うと、ゲーデル
は「それどころか、私は、いかにしてそのようなことが起こりうるのかを証明できるので
す」と言った。アインシュタインとモルゲンシュテルンは、慌ててゲーデルを制して、一
般質問に話題を戻した。<略>』1948年4月2日ゲーデルと妻のアデルは米国市民権を宣誓し
二人の移民は終了した。さて天才論理学者ゲーデルは「米国憲法によって米国が独裁国と
なることを証明できる」と明言したという。それから半世紀、先週の米国大統領の一般教
書演説や「イラクに大量破壊兵器はない」として米調査団長が辞任した報道を見るにつけ
私は米国の憲法は知らないが、ゲーデルの正しさを思い知らされる。米国は世界の独裁国
を目指しているのだろうか。尤も日本でも憲法に違反せずに、戦力を持つ部隊を復興支援
と称し紛争地域に派兵できたらしい。但しこちらは論理的な証明も説明も全く無い。しか
も最悪なのは、世界の独裁を目指す国の忠実な僕としての派兵である事、だと私は思う。
※今回は400字をオーバーしましたが、了承願います。
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