雑考400 第320号 登場人物 2002.3.3
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私が面白いと思う小説の一つは、登場人物に感情移入できる小説だ。特に、自分はこの人
間だ、と願望も込めてなぞらえる人物が登場する小説は、何度も繰り返し読んでいる。吉
川英治「三国志」、池波正太郎「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」等だ。
このところ「鬼平犯科帳」にどっぷり浸かっている。家内には、同じ本を何回も読んで面
白いの?と言われるが、吉川三国志、鬼平ほかの池波作品は、読めば読むほどに、そして
年齢を重ねるにつれて一層味わい深くなる小説だ。この辺りは"判る人には判る"と言うし
かない。鬼平では同心の小柳安五郎・密偵の伊佐次が、吉川三国志では副将の王平が、自
分の分に応ずると勝手に考えている。何度も読み返すうちに、彼らの思考形式が判ったよ
うな気持ちになる。そして−物語中の虚構の人物に対して妙な言い方ではあるが−少なく
とも彼らには負けられない、と考える。そういう作品、登場人物に出会えた私は幸運だ。
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黒姫高原 橋本 好次(はしもと よしつぐ)http://member.nifty.ne.jp/monburu/
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( 「雑考400」は、40字×10行の、1分で読める系統立っていない考察や考証です )
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