雑考400 第305号 蛍の里2 2001.7.8 ──────────────────────────────────────── 買い物の帰途、蛍を探すことになった。以前に蛍が居た田圃は残念ながら休耕田になって いたが、新たに田圃道の小川で蛍を見つけた。蛍狩りのベテランに、車の方向指示器を点 けると蛍が集まってきますよ、と教えられ半信半疑で点けたところ、見る見る蛍が集まっ てきた。10匹は居るな、と思いつつ数えているうちに30匹ほどになった。娘が腕を伸ばす と掌に止まった。倅の頭にも止まった。倅も娘も大はしゃぎだ。私の肩にも、家内の背中 にも止まった。車のボディーにも止まっている。方向指示器の点滅を雌と勘違いして集ま るそうだ。名残惜しがる子供達を車に乗せ帰途についた。暫く走ると、あ。蛍、と娘が言 う。ふと見るとフロントガラスの隅に淡い緑の光が点滅している。窓から入ったらしい。 信濃町では蛍の保護活動をしている、と言う話を聞かない。自然の蛍の里ということか。 迷い込んだ蛍を逃がす時、掌に乗せた淡い光に、1文字位なら読めそうだな、と思った。 ──────────────────────────────────────── |
黒姫高原 橋本 好次(はしもと よしつぐ)http://member.nifty.ne.jp/monburu/
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