雑考400 第283号 考えない脳3 2001.3.19
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信原幸弘 著『考える脳・考えない脳 心と知識の哲学』講談社現代新書188Pの考察から。
「つぎの日曜日は給料日前だ」と発話しながら意識的に考える時、この思考は脳の中で行
われるのではなく、発話という形で環境の中で行われる。このとき脳の中に構文論的構造
は無い。発話そのものが思考である。内語も同様。脳の働きが身体を動かし、それによっ
て環境の中に構文論的構造を持つ表象が作り出され、それを脳が知覚して新たに身体を動
かし、等々と繰り返して、表象の操作がなされる。即ち、心は脳と身体と環境からなる一
大システムと言える。…と著者の信原氏は主張する。構文論的構造(トムはスパイだ。の
ように要素と規則から成る構造)の表象の操作を脳単独では出来ない="脳は考えない"と
は逆説的だ。これは「桶の中の脳」を否定し、「身体は脳の劇場」を肯定する立場に近い
と感じる。"考えない脳"を知り、考えるとはどういうことか、益々判らなくなってきた。
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黒姫高原 橋本 好次(はしもと よしつぐ)http://member.nifty.ne.jp/monburu/
mail:monburu@nifty.ne.jp http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/1755
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( 「雑考400」は、40字×10行の、1分で読める系統立っていない考察や考証です )
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