雑考400 第282号 考えない脳2 2001.3.15
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信原幸弘 著『考える脳・考えない脳 心と知識の哲学』講談社現代新書184Pの考察から。
筆算で 643×72を行う時、構文論的構造を持つ計算は、まさに紙の上で行われるのであっ
て、脳の中で行われる訳ではない。では暗算の場合はどうか?暗算は視覚皮質において、
視覚的想像の中で行われる。例えば32×14を暗算で行う時、32と14を上下に並べたものを
視覚的に想像し、4と2を掛けた結果の8を4の下に書く…という視覚的表象を繰り返す。こ
の時、視覚皮質は、構文論的構造を持たないニューロン群の興奮パターンで視覚的表象を
作り出す。つまり暗算の時も筆算と同じで、脳の中で構文論的構造を持つ32×14の掛け算
が行われている訳ではない。同様に発話や内語を行いながら考える日常の普通の思考も、
思考を構文論的構造をもつ表象の操作に限定するなら「脳は考えない」と言える。脳は、
身体を通じて外部の環境の中にそのような思考を生み出す働きをするだけである。つづく
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黒姫高原 橋本 好次(はしもと よしつぐ)http://member.nifty.ne.jp/monburu/
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( 「雑考400」は、40字×10行の、1分で読める系統立っていない考察や考証です )
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