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雑考４００ 第２５９号 ネオテニーと躾２ 2000.12.17
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澤口俊之 南伸坊「平然と車内で化粧する脳」2000.9.10扶桑社を読み、1999.6月の第62号
「校長講話１」"人間の出来損ない"の脳科学的裏付けと了解した。長くなるが抜粋する。
『ネオテニー 【neoteny】アホロートルやイソギンチャク類などの動物で、発生が一定の
段階で止り、幼生形のまま生殖腺が成熟して生殖する現象。進化過程で生じたとする説も
ある。幼形成熟。幼態成熟』 広辞苑より
澤口俊之 南伸坊「平然と社内で化粧する脳」１４６頁から
◆ヒトはネオテニー化したサルである。
◆このネオテニーのおかげで、ヒトは賢くなれた。
◆ネオテニーで発達した前頭連合野（ぜんとうれんごうや）は自我、社会的知性、
感情的知性を担う「人間らしさ」の座である。
◆モンゴロイドは、ヒトのなかでもとくにネオテニーが進んでいる。
◆日本人もモンゴロイドなのでネオテニーが進んでおり、もともと前頭連合野が未熟だ。
◆ネオテニーのメリットを生かすために、その未熟な前頭連合野を育てる子育てや生活
の”仕掛け”を日本人はもっていた。
◆だが、間違った欧米化によってその”仕掛け”が失われた。
◆そのために日本人はネオテニーの落とし穴にはまり、前頭連合野の未熟性だけが助長
される結果になった。
第６２号 校長講話１ 1999.6.21 から一部再掲
○私の３０数年の教師生活から見ても、ここ１０年で大変な状況となったと感じる。
ナイフによる殺人、教師殺しや親殺し、また学級崩壊なども少子化が関係すると思う。
○自己主張の強い、わがままで、他人を思いやれない人間が、「大量に」学校に入ってき
ている。ある講演会では、このような子供達を「人間の出来損ない」と呼んでいた。
○いわばその「人間の出来損ない」が大量に学校に入ってくることで、学校の教育指導力
が失われつつある。
○最も小さな社会の単位は、子供ができる前の夫婦と考えられる。この時の人間関係は、
一直線の関係のみ、つまり「夫←→妻」の人間関係である。
○そこに子供が生まれると、父・母・子の三角形ができる。
これで「父←→母」「父←→子」「母←→子」の人間関係ができる。この他に、父母の
関係に対する子供の関係ができる。即ち「（父←→母）←→子」だ。同様に、
「（父←→子）←→母」「（母←→子）←→父」の関係ができる。これに兄弟、祖父母
が加わると、関係は更に複雑になる。
○昔はこれが普通の姿であった。この中で、思いやり、我慢など、人間としての基本的
な事を自然に学んだと思う。
以上の二つは符合する。「自我・社会的知性・感情的知性の人間らしさの座を司る前頭連
合野の未熟性」は、即ち「人間の出来損ない」だろう。そして「未熟な前頭連合野を育て
るために日本人が持っていた子育てや生活の”仕掛け”」の一つが「父・母・子、兄弟、
祖父母などの人間関係」だと思う。人間関係等によって培われた前頭連合野の教育・訓練
（＝躾）が崩壊し、前頭連合野の未熟性だけが助長された自己中心的な人間が非常に増え
ていると感じる。自分の子供を虐待し餓死させる父母の存在は、人間らしさの座（＝前頭
連合野）の機能障害、人間の出来損ないの最たるものだろう。ではどうしたらよいか？
「平然と社内で化粧する脳」２１９頁から
伸坊 もともともってる、子育ての仕掛けに素直にもどればいい。
澤口 片っ端からその仕掛けを取り戻したいですね。長屋の復活です、やっぱり。いえ、
別にマンションを全部ブっ壊して長屋にしろというわけじゃありません。熊さん、八っつ
ぁんみたいな、ご近所づきあいの復活です。
母親が孤立してなくて、公園デビューなんて堅苦しい儀式じゃなく、自然に井戸端会議
しながら子どもを育ててっていうのが理想ですよね。
<略>
伸坊 ハイ。モンゴロイド５万年の知恵ですね。タケノコご飯と、みそ汁と、豆と青魚を
食べ、まちがいがあれば叱ってやり、よく育て、大人になっても学ぶのを忘れない。
澤口 そのとおりです！それだけわかっていただけたら十分です。ともかく前頭連合野を
使うことが、子どもにとっても大人にとっても脳を育てることになる。前頭連合野を使う
ことは、自我によって自分の行動を自覚し、自分をコントロールし、周りの人に気を配る
こと。さらに、集中して考え、未来を見通し、好奇心を発揮することです。そうやって前
頭連合野が活動していれば、一つ目標を達成したらパーっと快感汁が出て、続いてジワジ
ワの幸福汁でシアワセをかみしめながら、また次の目標に向かって快感汁を出しつつ集中
して、さらにがんばってですね・・・。
<略>
※今回は４００字を大幅にオーバーしましたが、了承願います。
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