雑考400 第189号 損益分岐点 2000.5.16
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会社決算の中で損益分岐点(そんえきぶんきてん)という言葉が出てくる。広辞苑には、

【損益分岐点】損益発生の分れ目となる売上高。売上高、費用(変動費・固定費)、利益の
関係において、一期間の売上高がこの額を超えて初めて、売上高に比例した利益が発生。

とある。何やら難しそうだ。
また経理関係の本を見ると、損益分岐点を説明する次のような図と公式が載っている。


うーむ。これは参った。と思っていたのだが、少し考えたら、中学校の数学の問題である
ことに気づいた。義務教育だけで十分に理解できるし、自ら導くことも可能な筈だ。
具体的には二元連立一次方程式を解けば良いと思う。試しに計算してみる。

利益を求める計算式は、

  売上−費用=利益

である。ここで利益がゼロなのだから

  売上−費用=0 → 売上=費用

つまり、売上と費用が同じになる金額を求めれば良い。
一方、費用は固定費と変動費に分かれる。

  費用=固定費+変動費

固定費は、売上が増えても固定で変わらない費用(リース料・家賃など)
変動費は、売上げが増えると比例して増える費用(仕入代・残業手当など) となる。

ここで大胆に、「変動費は、売上に正比例する」と仮定する。
(現実はそんなに単純ではなく、異論もあると思うが、簡素に数式化するため)
すると売上と費用の関係は、直線、つまり一次方程式で表される(上図のイ)。
売上がゼロの時は、固定費のみが発生し、これはy軸との交点、即ちy切片となる。
また、

  売上=費用

は、45度の右上がり直線となる(上図のア)。
上図のアとイを、y(費用)、χ(売上)として一般的な直線式で書くと、

 ア y=χ
 イ y=aχ+b  ※aは売上に対する変動費の比例係数、bはy切片(固定費)

さて、アとイの交点が 売上=費用 即ち 損益分岐点である。
交点を求めるには、連立方程式とし、その解を求めれば良い。
イのyにアからy=χを代入すると、

  χ=aχ+b

これをχについて解くと、

  aχ−χ+b=0
  (a−1)χ+b=0 
  χ=b/(1−a) ・・・・・(1)

ここでaは、売上に対する変動費の比例係数と定義したので、

  a=変動費/売上

となる。またbは固定費である。よって(1)を日本語に置き換えて、分数の形にすると

となる。但し、上記の計算は、私が全く独自に行ったものなので、理論的な誤りがあるか
も知れない。あくまで、中学校数学レベルの頭の体操として了解して欲しい。

※今回は400字をオーバーしましたが、了承願います。
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黒姫高原 橋本 好次(はしもと よしつぐ)http://member.nifty.ne.jp/monburu/
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( 「雑考400」は、40字×10行の、1分で読める系統立っていない考察や考証です )
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