雑考400 第88号 人間の本能 1999.9.5
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私淑する岸田秀氏の共同幻想論は、人に対する優れた洞察に基づくものだと思う。M・ス
コット・ペック著「平気でうそをつく人たち−虚偽と邪悪の心理学−」森 英明 訳 草思
社 300頁に興味深い記述を見つけた。『ほぼ全面的な本能の欠如は、人間の本性を示す最
も重要な面である。人間の本性と行動の異常なほどの多様性と変わりやすさは本能の欠如
によるものである。そして、人間という種全体に共通する本能にとって代わるものが、学
習や経験によって習得された個々の人間の選択である。−略−人間に残されているわずか
な本能ですら拒否することもある。これは合理的理由から禁欲を選びあるいは、殉教のた
めに進んで死を受け入れる人がいることからもわかることである。』これは岸田氏の共同
幻想論の出発点「ヒトは本能の壊れた動物であり、疑似現実としての共同幻想を共有する
ことで種が存続できた」と全く同じだ。こういう発見が、読書の楽しみの一つでもある。
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黒姫高原 橋本 好次(はしもと よしつぐ)http://member.nifty.ne.jp/monburu/
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( 「雑考400」は、40字×10行の、1分で読める系統立っていない考察や考証です )
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