雑考400 第74号 本当の 1999.7.25
────────────────────────────────────────
「本当の」という言葉に胡散臭さを感じる。本当の自分、本当の愛など自由に言葉を作る
が、「本当の」は説明せず、何か崇高なものを感じさせ、反論を拒絶する欺瞞的枕詞だと
思う。岸田秀氏が本当の自分についていくつかの著書に書いている。「不惑の雑考」1993
5.8第1刷 文春文庫の76頁”くたばれ「自己実現」!”から抜粋する『わたしがかねがねう
さんくさいと思っているものの一つに「真の自己」というのがある。この言葉はカウンセ
リングなどで、誘惑的なコマーシャルのように乱用されている。−略−患者(べつに患者
ばかりでなく普通の正常人の場合も同じだが)が現在持っているいろいろな劣等な面、醜
い面などを「偽りの自己」の表れだと言ってくれるからである。そういう表層の部分を突
き破ったどこか心の奥底のほうに「真の自己」が隠されており、それは、−略−心やさし
く美しい人間性であったり、−略−する。』本当の自分思想は自己嫌悪と密接不可分だ。
────────────────────────────────────────
橋本 好次(よしつぐ) mail:NBA00155@nifty.ne.jp  http://member.nifty.ne.jp/monburu/
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/1755  mail:monburu@geocities.co.jp
__________________________________
( 「雑考400」は、40字×10行の、1分で読める系統立っていない考察や考証です )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

トップページに戻る 前のページに戻る