雑考400 第60号 認知的不協和理論 1999.6.14 ──────────────────────────────────────── 市川伸一「考えることの科学 推論の認知心理学への招待」1997.2.25初版 中公新書を読 んだ。興味深い内容が盛りだくさんだった。今回は170頁から 認知的不協和理論の話を書 く。これはフェスティンガーの理論。彼は人の知識の中にある様々の事実命題を「認知要 素」と呼ぶ。例えば「車を買った」は一つの認知要素で、この要素は「買った車は性能が 良い」という認知要素(内容が客観的に真実かどうかは別)と「協和」即ち整合的な関係 にある。一方「他車の方が性能が良い」という認知要素とは「不協和」の関係にある。人 は全体として不協和を低減するように方向づけられると言うのが、認知的不協和理論の骨 子だ。車の例では他車のカタログは見ず、購入した車のカタログばかり見る、という調査 結果があるという。これは他車の方が性能が良いという「不協和」を避ける為だ。なるほ ど思い当たる事は多い。都合のいいように判断資料に自らバイアスをかける。要注意だ。 ──────────────────────────────────────── |
橋本 好次(よしつぐ) mail:NBA00155@nifty.ne.jp http://member.nifty.ne.jp/monburu/
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