雑考400 第7号 人生の大事 1999.3.29
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池波正太郎 氏の著作「鬼平犯科帳」には、人生について語るところが多々ある。
その中から、私にとって特に印象深い箇所を抜粋する。文春文庫の「鬼平犯科帳」第7巻
「寒月六軒堀(かんげつろっけんぼり)」の冒頭の一節である。

『『『

 火付け盗賊改方の長官(おかしら)・長谷川平蔵宣以(のぶため)は、その生いたち
だけに、「四十をこえてみて、わしは、その二倍も三倍もの年月を生きて来たように
おもえる。さればさ、もう生きてるのが億劫になった」
 と、妻女の久栄に、よく語りもらすことがある。
 つまり、それだけ多彩な人生を体験してきたからであろうが、いまになってみると
平蔵、つくづくとこうおもうのである。
(つまりは、人間(ひと)というもの、生きて行くにもっとも大事のことは・・・・・・たとえ
ば、今朝の飯のうまさはどうだったとか、今日はひとつ、なんとか暇を見つけて、
半刻か一刻を、ぶらりとおのれの好きな場所へ出かけ、好きな食物(もの)でも食べ、
ぼんやりと酒など酌みながら・・・・・・さて、今日の夕餉には何を食おうかなどと、
そのようなことを考え、夜は一合の寝酒をのんびりとのみ、疲れた躰を床に伸ばして、
無心にねむりこける。このことにつきるな)

』』』

※今回は400字を少しオーバーしましたが、原文そのままということで了承願います。
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橋本 好次(よしつぐ) mail:NBA00155@nifty.ne.jp  http://member.nifty.ne.jp/monburu/
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( 「雑考400」は、40字×10行の、1分で読める系統立っていない考察や考証です )
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