寧日雑考 第120号 生成AI考 2025.11.25
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2022年12月登場のChat-GPTから始まった
AI(Artificial Intelligence 人工知能)は、
その後、かなり進化した。

寧日雑考 第89号 ChatGPT で書いたとおり、
最初は文字による対話型のAIだった。
それでも完成度の高さに驚かされた。

それから僅か3年で生成AIが登場し、簡単な指示
で多くの成果物が自動作成される時代になった。

事務作業の例を挙げると、
 メール文面案、長文要約、外国文翻訳、
 会議録音の文字起こし議事録、パワーポイント資料、
 WEB公開データを集めてのエクセル分析表、
等々の成果物が分単位、秒単位で作られる。

事務作業の効率化は大いに進んだ。
画像や動画ですらも簡単に作成される。

ところで今のAI(人工知能)の基本原理は、
 ・ある言葉の次に続く可能性が高い言葉を並べるだけ
 ・その並び順は既存の膨大なデータから推測される
らしい。

そうであれば、同じデータが元になっている以上、
生成AIで作られる成果物は、いずれ均質化して
行かざるを得ないだろう。

産業革命以降の肉体労働から機械化への流れと同じだ。

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 移動 徒歩 → 馬 → バイク・車
 陸運 荷車 → 馬車 → 鉄道・トラック
 動力 人力 → 馬・牛 → 蒸気 → 内燃機関・電気
 製造 手作業・肉体労働 → 機械化・自動化
 計算 そろばん → 電卓 → コンピュータ
 諸々 専門職人(事務処理・翻訳・作画) → 生成AI
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AIの活用が当たり前となりつつある今、競争が激しい
業界でAIを使わない企業は時間と人件費が
ボトルネックとなり経営の厳しさが増すだろう。

では、AIという同じ道具を使って競争する企業同士が、
どうすれば勝ち残って行けるか?

少し考えれば、
 ・全く新しい付加価値
 ・他社が真似できない付加価値
を生み出すこと、という当たり前の結論になるだろう。

全く新しい付加価値、他社が真似できない付加価値を
どうやって見つけるか?

現行AIの原理上、AIで見つけることは不可能だ。

少し前、シンギュラリティという言葉がしばしば見聞された。
シンギュラリティは技術的特異点と言われ、
AIが人間の知能を超える転換点を指す。

残念ながら現行AIの原理上、
 ・現行AIでのシンギュラリティ(Singularity)は無い
が結論となるだろう。

そもそも、人間とAIの決定的な違いは何か?

それは
 ・AIは問を立てる力が無い
ということだ。

今の生成AIのような道具がいくら進歩しても、
人間の「問を立てる力」が核心でありつづけるだろう。

企業が勝ち残って行くには、その経営者の能力が
肝心要であり、つまり、AIが登場する前の状態と
何ら変わることは無い、ということだ。

因みに、問を立てる力(課題を見つける力)は、
分析哲学の根幹であると私は理解している。

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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://zak400.zatunen.com/
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( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした考察です)
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