寧日雑考 第102号 対外純資産471兆円 2024.5.30
──────────────────────────────────────

2024.5.29日経朝刊によれば、財務省発表の2023年末 日本の対外純資産は
471兆円で33年連続で世界最大だという。
つまり世界一の金持ち国ということだ。

財務省のホームページ(※1)を確認したところ、対外純資産は6年連続で
増加しており、残高は471兆円とあった。

この財務省の資料で驚いたのは、BS(バランスシート貸借対照表)形式で記載
されていることだ。

   (借方)      (貸方)
資産合計 1488|負債合計 1017
         |純資産   471(兆円)

さすがに、財務省の人間は、資産(借方)と負債(貸方)を正しく理解しているらしい。

さて、財務省のもう一つのページ 「日本の財政を考える」(※2)を見ると、
 
 6.日本の借金の状況
 普通国債残高は、累増の一途をたどり、2023年度末には1,068兆円に上ると
 見込まれています。

と書かれている。
ここでいう「日本の借金」1,068兆円は日本国BSの負債金額で、
前述の対外純資産の負債合計1,017兆円と同じ意味合いだ。

こちらの資料には、BS(バランスシート貸借対照表)的な、資産合計の説明は
皆無で、単に負債合計が大きいことだけを主張している。

上述の対外資産に例えて言えば、

  「日本の対外負債は1,017兆円にも膨らんでおり、債務残高はGDPの
  2倍を超えており、主要先進国の中で最も高い水準にあります。」

と説明していることになる。

これは明らかに、日本国民をバカにした説明だろう。

日本には当然、莫大な資産がある。
そして「日本の借金」と言うのであれば、「日本は世界一の金持ち」とも
表現できる。

さらに言えば、日本国債の最大の保有者は日本銀行である。(※3)
2024/3末で589兆円。発行残高1,068兆円の半分以上(55%)だ。

日本銀行は日本国のいわば子会社だから連結して考えれば良い。
よく言われる統合政府だ。

財務省の思惑は、国民を騙し、
 「日本の借金は1,068兆円にも上り、少子高齢化で今後さらに
 財政が厳しくなる。だから消費税(10%)を大幅にあげなければならない」
という理屈を納得させるための詭弁であろう。

それにしても、マスコミ(特に日経新聞)、財務省、多くの国会議員など
自分達だけの利益を最優先して、国民を貧民化させ、日本を衰退させる輩が
多いことに、今更ながら呆れかえる。

私たち日本国民は、騙されないだけの知識を持たなくてはならない。

(※1)令和5年末現在本邦対外資産負債残高
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/iip/data/2023_g.htm

(※2)日本の財政を考える
https://www.mof.go.jp/zaisei/financial-situation/financial-situation-01.html

(※3)日本銀行 1.令和5年度末の資産、負債及び純資産の状況
https://www.boj.or.jp/about/account/zai2405a.htm

───────────────────────────────────────

横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://zak400.zatunen.com/
____________________________
( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした考察です)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

トップページに戻る