寧日雑考 第87号 ブレグレット 2023.03.24
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2023年3月20日(月)産経新聞の朝刊トップに
英国がEU離脱を後悔している、という記事があった。

 ブレグジット(ブリテン+エグジット)英離脱 から、
 ブレグレット(ブリテン+リグレット)英後悔 に変わった。

ということらしい。

EU離脱か、残留か、という正反対の政策で国民投票が行われ、
「離脱すれば英国は繁栄する」と訴えた離脱派が 51.9% で勝利。
因みに、残留派は 48.1% だった。

正に国論を二分した接戦の結果といってよい。
そして、EU離脱で英国は繁栄するはずだった。

しかし、2020年末の完全離脱から2年数ヶ月が経った今も、
英国の経済低迷は続いている。

昨年9月に英国債金利が暴騰、通貨ポンドは大幅に下落し、
英国元首相のトラス氏が就任後わずか1ヶ月半で辞任した。

離脱に一票を入れた人間は後悔しているという。だが、
国民の過半数が自ら選んだ結果であり、正に自己責任である。

ヒトは、自分が確信できること以外は、雰囲気に流されがちだ。

マスコミや著名人、信用する身近な人間が声高に訴えれば、
真剣に考えることを放棄し、あの人が言うのだから、と安易に
信じてしまう。

直接民主制である国民投票の落とし穴だろう。

EU離脱 or EU残留 のような正反対の政策で、しかも
両者の賛否が拮抗している時の国民投票は極めて危険だ。

どちらが勝利しても禍根を残す。特に、誰が見ても失敗が
明白な場合はなおさらだろう。後悔先に立たずである。

このような賛否両論が拮抗している事案は日本にも多数ある。

性急な国民投票は行わず、まどろっこしいが、時間をかけて
議論を尽くし、国民の7割程度が賛成という世論を醸成する。

これが、過ちを防ぐ正しい道だろう。



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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://zak400.zatunen.com/
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( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした考察です)
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