寧日雑考 第62号 頭足類の足は? 2020.12.12
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広辞苑第五版で「頭足類」を調べると、
 「軟体動物の一綱。体は頭・胴・腕の3部から成る。
 頭部には側面に発達した眼を具え、8本または10本の腕がつく」
と記載されている。

タコのイラストでよく見る Ω の形で言えば、
・頭のように見える∩の部分が実は胴体
・胴体の下が頭で目玉が付いており
・その目玉のすぐ下、つまり頭から八本の足が生えている
ことになる。
そして八本の足が集まっている根元の中心が口だ。

普通の動物は、

 頭
 |
 胴
 |
 足

の順で体が構成される。つまり胴から足が出ているが、

イカ・タコは、

 胴
 |
 頭
 |
 足

の順で体が構成される。頭から足が生えているから
頭足類という名前がついたのだろう。

しかし、地球上で生まれた唯一の生命系統から進化した
動物なのに体の構成順が変わるのはおかしい、と
私は長年疑問に思っていた。

その疑問が、先日、沖縄の美ら海水族館で「コブシメ」
というイカを見たとき、瞬時に氷解した。

イカの足は、唇なのだ。

コブシメ(美ら海水族館HPより)
https://churaumi.okinawa/sp/fishbook/00000310/

写真を見れば一目瞭然である。
目玉の付いている部分が頭で、その頭から10本の「足」が
斜め前方に出ているのがわかる。この10本の内側中央に口がある。
つまり10本は唇そのものだ。

頭の後ろが胴体で、胴体から出ているべき本来の足は、
退化して消えたか、あるいはヒレに変化しているのだろう。

唇は10本に分かれ、腕のように自在に動く。
その唇で餌を取り、また戦いに使うのだ。

タコの場合は、口を下にして逆立ちしている状態が、
いわゆる Ω の姿である。

「頭足類」という言葉と漫画イラストの姿に惑わされていたが、
イカもタコも、頭から足が生えているのではなく、地球で生まれ
進化した他の動物と同様に、

 頭−胴−退化した足

の順で体が出来ているのだ。

 

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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://zak400.zatunen.com/
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( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした考察です)
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