寧日雑考 第47号 キャッシュレスで知るお金の真実 2019.09.10
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自分の収入と支出を考える。

(1)毎月の給与は銀行振込(所得税は源泉徴収)
(2)銀行から住宅ローンで借り入れてマンション購入
(3)住宅ローン、公共料金支払などは銀行口座の自動引き落し
(4)買物の支払は全てクレジットカード(スーパー、コンビニ、
 ネット通販、家電量販店、食堂、Suicaオートチャージなど)

キャッシュレス化が遅れていると言われる現在の日本でも、
上記のような、現金を使わない取引は日常的に行われている。
実際、私は現金での支払いは極力やらない。

そして上記(1)から(4)の取引で現金は全く動いていない。
では何が起きているのか? 答えは情報のやり取りである。
具体的には個人・企業・国のそれぞれが保有する銀行口座の預金
残高が増減している。つまり預金残高という情報・記録の蓄積だ。

預金残高という情報を記録する仕組みが複式簿記であり、
その中身は仕訳と勘定元帳だ。
だから複式簿記を知っている人なら、お金は単なる記録だ、
とすぐにわかる。仕訳の借方か貸方に預金が、その反対側に
資産や負債、費用や収益などが来て、貸借が合致(バランス)する。

参考までに上記(1)から(4)の取引について
家計の仕訳を書いてみよう。(金額は省略)

(1)普通預金/給与所得 租税公課/普通預金
(2)普通預金/借入金 自宅建物/普通預金
(3)借入金/普通預金 水道光熱費/普通預金
(4)食費/普通預金 衣料費/普通預金
遊興費/普通預金 など

同様の仕訳は、取引の相手側(コンビニ、銀行など全ての企業)で
記録され、帳簿が作られ、収益計算や財産計算がなされる。
最終的に、個人なら家計簿となり、事業者であれば、
貸借対照表(バランスシートB/S)や損益計算書(P/L)が作成される。

例えば上記(4)のコンビニの仕訳は

(4)普通預金/売上

である。そして、販売する商品を仕入れるため、

 仕入/買掛金  買掛金/普通預金

という別の仕訳が必ず起きている。売上と仕入の仕訳に
普通預金が出てくるが、その差額がコンビニの儲けだ。

もし、現金が廃止されて完全キャッシュレスになれば、
お金は普通預金という記録だけの存在となる。
つまり、お金(通貨、紙幣、貨幣)の本質は記録なのだ。

但しその記録は、いつでも財やサービスと交換できる価値が
必要だ。この価値は信用と呼ばれる。
つまり信用とは財やサービスを生み出せる力、即ち国力である。

2019.9.10付け日経新聞によれば、円建て10年国債の金利は、
マイナス0.255%である。マイナス金利にも拘わらず取引されて
いる現実は、日本国債、つまり円は充分な信用がある、という
事実を表している。

この事実は、物価上昇率2%になるまで国債を発行して、
雇用や経済を安定させ、社会資本を充実させるべき、
と主張する現代貨幣理論 MMT( Modern Monetary Theory )
の正しさを裏付ける事実でもある。

日本国が財やサービスを生み出せる力、すなわち国力を維持
できなければ、普通預金という記録の価値はなくなる。
つまり円というお金の信用を失うのだ。

では、どうすれば日本国は国力を維持できるのか。それは、

(1)国が安定した社会秩序と社会資本を維持・保全する。
(2)企業が設備投資を行い技術開発を進める。
(3)国民がみな働き適正な所得を得て幸せに生活する。

ことに尽きる。

そして、国の責任で行わなければならない(1)の財源は、
物価上昇率2%になるまで発行できる国債である。

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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://www.geocities.jp/monburu/
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( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした雑文です)
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