寧日雑考 第25号 ← ↑ → 同時点灯 2017.03.20
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戯れた表題で忝いが、半世紀以上も生き、35年以上も自動車を
運転して初めて見た信号機に衝撃を受けたので、そのまま使った。

普通の交差点の矢印信号機で、3方向、
 
  ← (左折)、↑(直進)、 → (右折)

の全てが、同時点灯していたのである。

普通の青信号と何が違うのだろうか?

鹿沼市の国道121号線 晃望台交差点に、その信号機はある。
この信号機をタクシーで直進通過する度に、普通の青信号との
意味の違いを考えるのだが、得心できる答えを思いつかない。

運転手に意見を聞いたところ、
「自分もはっきりとは分からないが、右折の矢印信号(→)が
出ている時は、安心してすぐに右折できますね」
と言う。確かに、と思った。

この十字路は、交差点付近こそ片側2車線になってはいるが、
右折車の数に比べて右折車線の容量が小さいため、交通量の多い
夕方の新鹿沼駅方面は、いつも渋滞している。
青信号で対向直進車の様子を覗いながら右折するより、右折矢印
の点灯後ただちに曲がる方が、渋滞緩和に結びつくだろう。

念のために、道路交通法を調べてみたところ、
道路交通法施行規則 別表第一の二(第四条関係)に
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35F03101000060.html

「灯火の矢印の種類」として3つの条文があった。一つに要約すると

「車両等が、直進、左折、右折または転回することになるもの」

とある。
つまり矢印信号と青信号の違いは、歩行者を対象とするか否か、である。
これは当たり前過ぎて、言われるまで思い至らなかった。

更に念のため、道路交通法施行令を調べたところ、
第二条(信号の意味等)に
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35SE270.html

信号の種類、信号の意味の一覧があった。
「青色の灯火」部分を抜粋すると、

一 歩行者は、進行することができること。
二 自動車…<略>…は、直進し、左折し、又は右折することができること。

とある。これで矢印信号は車両等だけが対象であることの
根拠が明確になった。

私は自動車を運転する者として、右折矢印が点灯している時は、
横断歩道に歩行者がいないこと知っている。
このことは35年前に自動車学校で習ったかも知れないが、覚えていない。
今は「経験的に」知っているだけだ。
現代日本は成文法で構成されている事実の一つを再認識し、安心した。

閑話休題。

たかだか創業数十年の会社でも、何故このようなやり方をしているのか
理解に苦しみ、しかもその根拠を誰も知らないことがままある。
これは不文法の結果であり、つまりは一種の不文律と化している状態だ。

成文法があるなら、言葉の意味を読み取り、時代背景の変遷を考えれば、
自ずとあるべき姿が見えてくるだろう。しかし不文法では限界がある。

今は、ああすれば、こうなる、の脳化社会。
矜恃として言葉や文字の足跡くらいは残しておきたいものである。


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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://www.geocities.jp/monburu/
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( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした雑文です。)
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