寧日雑考 第10号 破風礼賛  2016.05.23
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「破風(はふ)」 という言葉を初めて見たのは、中学校の国語の教科書
だったと思う。

その時は「破風」の読み方も、何を指すのかも、全く知らなかった。
教科書の内容が、誰のどういう文章だったかも残念ながら覚えていない。

文脈から建物に関係する何かを指すらしいとは想像できたが、
その時の国語教師の説明が全く要領を得なかったので、
風を破ると書くのだから風よけの壁みたいなものだろう、と勝手に
思い込み、そのまま40年経ってしまった。

今考えれば、「破風」のような簡単なものを生徒に分かりやすく説明
できなかったのは教師自身が知らなかったからだろう、と思う。

「破風」を知らなかったこの40年間、日常生活に支障が出たことは
一度もない。
とは言え、生活に支障が出ないことと、生活に情緒・趣がないことは
全く別の次元なので、両立はするが、それは教養がないのは残念なこと
と同値である、とほんの1年少し前に思い知らされた。

きっかけは、日経新聞2015/2/8日曜版の「国宝 四天守(中)」で
国宝 彦根城天守 を知った時である。
いかにも日本の城らしい美しい姿に、一目で魅了されてしまった。
    http://www.hikoneshi.com/jp/castle/

華麗に見えるのは、たくさんある三角形の小屋根の効果だが、
これが「破風」だと40年も経って理解した。あぁ、そうだったのか。

記事の専門家による解説を何度も読み返して破風の見分け方を覚え、
その醍醐味を知った。そしてもっと詳しく知りたいと思い、書籍
「お城のすべて(学研雑学百科)」を買って精読した。

国宝 彦根城天守は、3重3階地下1階という比較的小さな城であるが、
3種類の破風が全部で18個もあり、現存天守では最多という。
それは国宝 姫路城の天守が、5重6階地下1階で彦根城の2倍の
規模だが、破風の数は同じ18個であることからもわかる。

破風の種類で代表的なものは、入母屋破風(いりもやはふ)、
切妻破風(きりづまはふ)、千鳥破風(ちどりはふ)、唐破風(からはふ)
などで、それぞれに特徴があり、甲乙付けがたい。

私は、長野県にも、兵庫県にも、岡山県にも、それなりの期間
住んでいたのだが、松本城も、姫路城も、岡山城も、じっくりと
見たことはなかった。城に興味がなかったからだが、今から思えば
勿体ないことをしたと思う。

破風の違いを見分けて、なんと雄大な比翼入母屋破風だろう、とか
この大千鳥破風の優雅さはどうだ、などど言って感嘆したかったし、
城なのに花頭窓があるのは珍しいとか、軒唐破風はやはり装飾性が
高いね、などと蘊蓄を垂れたかった。

遅ればせながら破風の愛好家になったここ1年で、彦根城、姫路城を
訪れ、生の破風を堪能した。
残る国宝天守は、松本城、犬山城、松江城である。
このほか、全国に7つあるという重要文化財の現存天守にもいずれは
行って見たい。

行動目標がまた増えた。
男の平均余命まで生きるとして、残り28年。人生は短い。
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横浜市 橋本 好次(はしもと よしつぐ)
mail:monburu@nifty.com   http://www.geocities.jp/monburu/
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( 「寧日雑考」は、自由・不定・記録 を方針とした雑文です。)
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